見積書の人件費(労務費)の書き方|建設業の工数・単価の記載例
更新日: 2026年4月26日
建設業の見積書では、労務費(人件費)の記載が中核です。改正建設業法 2025 では「労務費の内訳明示」が努力義務化され、これまで「一式」でまとめていた業者も、職種・工数・単価を明示する必要が高まっています。本記事では、建設業の見積書における労務費の計算方法・単価設定・記載例を実務レベルで解説します。
建設業の労務費とは
建設業における労務費とは、工事に従事する作業者・職人の作業コストを金額化したものです。材料費・外注費とは異なる「ヒトのコスト」で、以下が含まれます。
- 作業者の基本給・手当(事業主負担分の社会保険料は別途「法定福利費」として計上)
- 技能レベル・職種に応じた単価差(とび職・大工・電気工事士など)
- 現場管理者(現場監督)の管理工数
- 残業・休日割増分
見積書では、これらを「工数(作業量)× 単価」という形式で記載するのが一般的です。改正建設業法では、職種ごとに「誰が何日いくらで働くか」を読み取れる粒度が望ましいとされています。
工数の計算方法と単位
建設業で最も使われる工数単位は「人日」と「人時」です。
人日(にんにち)
1人が1日(通常8時間)作業する量を「1人日」とします。建設業では最も標準的な単位で、たとえば3人の職人が5日間作業する場合は「15人日」です。
人時(にんじ)
1人が1時間作業する量を「1人時」とします。短時間の作業や緊急対応で使います。たとえば2人で3時間作業する場合は「6人時」です。
単位の換算目安
1 人日 = 8 人時(標準的な 1 日 8 時間で計算)
単価の設定方法
建設業の労務費単価は、以下のいずれかで設定します。
1. 公共工事設計労務単価を参考にする
国土交通省が毎年公表する「公共工事設計労務単価」が業界標準の指標です。職種ごとの日額単価(例: 普通作業員 ¥18,000、内装仕上工 ¥22,000、大工 ¥25,000、電気工事士 ¥25,000、とび工 ¥27,000 等、地域・年度で変動)が示され、公共工事だけでなく民間工事の目安としても広く使われます。
2. 原価積み上げ方式
自社の作業者の月給・社会保険料・福利厚生費に利益率を加算して算出します。自社のコスト構造に基づくため、赤字を防ぎやすく根拠が明確です。
単価 = (月額給与 + 社会保険料 + 福利厚生費)÷ 月間稼働日数 × (1 + 利益率)
例: 月給 35 万 + 社保等 10 万 = 45 万 ÷ 20 日 × 1.3 = ¥29,250 / 人日
建設業の労務費 記載例
建設業の見積書では、職種ごとに人日数と単価を分けて記載することが推奨されます。改正建設業法 2025 にも沿った形になります。
改正建設業法 2025 が求める記載粒度
改正建設業法では、労務費の内訳明示が努力義務化されました。これは 「誰が、どれだけ、いくらで働いたか」が読み取れる粒度の記載を求めるものです。具体的には:
- 職種別に行を分ける(大工・電気・配管・とび など)
- 「労務費」と「材料費」「外注費」「諸経費」を分けて記載
- 法定福利費(労務費 × 約 20%)を独立項目として明示
- 「一式」表記は避け、可能な限り内訳展開する
詳細は 改正建設業法2025【完全ガイド】 をご確認ください。法定福利費の計算方法は 法定福利費の計算方法と業界標準料率 で詳しく解説しています。
労務費を見積書に記載するときの注意点
- 工数の根拠を説明できるようにする: 「なぜこの工数が必要なのか」を発注者に聞かれたときに説明できるよう、過去の類似案件データを準備しておきましょう。
- バッファの扱いを決める: 天候・現場状況による工程遅延に備え、各工種に 10〜20% 程度のバッファを含めるか、別行で「予備工」として明示します。
- 残業・休日割増の取扱い: 夜間・休日工事が想定される場合は、別途割増単価を備考欄に明記します。
- 消費税の取り扱い: 労務費にも消費税がかかります。インボイス制度に対応し、税率ごとの金額を明記しましょう。
- 下請発注の場合: 一人親方・他社への外注は「外注費」として、自社作業者の労務費とは分けて記載します(改正建設業法上、混在は避けるべき)。
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