水道工事・設備工事業の見積書の書き方ガイド【記載例・テンプレート付き】

更新日: 2026年4月20日

水道工事・給排水工事・空調設備・電気設備など、設備工事業の見積書は一般的な商品の見積書と構成が大きく異なります。材料費と工賃(人工費)の分離記載、諸経費の取り扱い、工事種別ごとの記載方法など、業界特有のルールを正確に理解することが、受注率の向上と適正利益の確保につながります。この記事では、水道工事・設備工事業の見積書作成に必要な項目の解説から、工事種別ごとの記載例、下請け・孫請けの見積書対応まで、実務に役立つ情報をまとめました。

水道工事・設備工事業の見積書に必要な記載項目

設備工事業の見積書は、材料費・工賃・諸経費を明確に区分して記載することが基本です。発注者(施主・元請け)が内容を正確に把握でき、後から追加工事や変更が生じた際にも根拠を示しやすくなります。

1. 基本情報(表紙・鑑)

見積書の表紙には以下の情報を記載します。

  • 見積書番号(管理用)
  • 発行日・見積有効期限(一般的に30〜60日)
  • 工事名称(例:〇〇邸 給排水設備工事)
  • 工事場所(住所)
  • 工期の目安
  • 見積金額(税込合計)
  • 発注者名(宛先)・自社名・担当者名・連絡先

水道工事業者として許可を受けている場合は、建設業許可番号(例:東京都知事許可(般-〇〇)第〇〇〇〇号)も記載すると信頼性が増します。

2. 材料費の記載

材料費は品名・規格(サイズ・メーカー・型番)・数量・単位・単価・金額を一行ずつ記載します。設備工事でよく使われる記載例は以下のとおりです。

[材料費 記載例]

塩化ビニル管(VP)13A 1m × 10m @250円 = 2,500円

給水用ポリエチレン管(HIVP)20A × 5m @420円 = 2,100円

止水栓(ボールバルブ)20A × 2個 @1,800円 = 3,600円

水道用パッキン各種 一式 = 800円

給水分岐継手(チーズ)13A × 3個 @350円 = 1,050円

「一式」での計上は金額の根拠が見えにくくなるため、なるべく品番・数量を明記することをおすすめします。ただし、消耗品や細かい副資材は「雑材料一式」としてまとめる場合もあります。

3. 工賃(人工費・施工費)の記載

設備工事の人件費は「人工(にんく)」単位で計上するのが一般的です。職種ごとの人工数と日当(1人工あたりの単価)を掛け合わせて算出します。

[工賃 記載例]

配管工(給水・排水) 3人工 × 28,000円 = 84,000円

配管工(空調冷媒管) 2人工 × 30,000円 = 60,000円

電気工(動力配線) 1人工 × 32,000円 = 32,000円

補助工・雑作業  2人工 × 18,000円 = 36,000円

国土交通省が毎年3月に公表する「公共工事設計労務単価」では、配管工・電工・冷凍空気調和機器施工の職種別単価が地域ごとに示されています。民間工事でもこれを参考にすることで、単価の妥当性を説明しやすくなります。

4. 諸経費・交通費の記載

直接工事費(材料費+工賃)に加え、以下の費用を計上します。

  • 現場管理費:現場監督・施工管理に要する費用。直接工事費の5〜15%が目安。
  • 交通費・駐車場代:現場への往復交通費や、駐車場代。実費を記載するか、一式でまとめる。
  • 諸経費(一般管理費):本社・事務所の管理コスト、保険料等。直接工事費の5〜10%程度。
  • 産業廃棄物処理費:工事で発生した廃材の処分費用。適正処理業者への委託費用を計上。
  • 養生費・仮設費:内装工事を行う場合の養生シートや仮設機材費。

諸経費を「一式〇円」とだけ記載すると発注者に不信感を与えることがあります。可能であれば内訳を簡単に説明する一文を加えるか、計算根拠(直接工事費の〇%)を明記しましょう。

工事種別ごとの記載例

水道工事・設備工事はいくつかの種別に分かれており、それぞれ記載すべき項目が異なります。代表的な4種類について具体的な記載例を示します。

給水工事(水道引き込み・給水管更新)

給水工事では、水道本管からの引き込みや屋内給水管の更新・増設を行います。水道局への申請手数料が別途必要になる場合があるため、見積書に「水道局申請費・加入金は別途」と明記しておくことが重要です。

[給水工事 記載例]

項目数量単位単価金額
給水管(架橋ポリ管)13A15m3805,700
止水栓(ボール弁)13A22,2004,400
配管工(給水)2人工28,00056,000
雑材料・副資材13,0003,000
諸経費(上記合計の10%)16,9106,910

排水工事(排水管更新・詰まり修繕)

排水工事では、既存管の更新・延長、排水桝の新設・清掃、高圧洗浄などが主な作業です。床下や壁内の隠蔽配管が絡む場合は、解体・復旧費用も明記します。

[排水工事 記載例]

項目数量単位単価金額
排水管(VP100)8m1,2009,600
排水桝(塩ビ製)300角28,50017,000
床解体・復旧(フローリング)212,00024,000
配管工(排水)2.5人工28,00070,000
廃材処分費18,0008,000

空調設備工事(エアコン・換気設備)

空調設備工事では、室外機・室内機の設置費用、冷媒管の配管費用、電気工事(専用コンセント・電源ブレーカー)、ドレン排水管の取り回しを別々に計上します。機器の品番・メーカーを明記し、工事保証期間(通常1年)も記載しましょう。

[空調設備工事 記載例]

項目数量単位単価金額
エアコン本体 ダイキン S63ZTVP 6.3kW1180,000180,000
冷媒管(ペアコイル)2分3分 5m18,0008,000
電気工事(専用回路増設)125,00025,000
空調工(取付・試運転)1人工32,00032,000
既設機器撤去・処分費115,00015,000

電気設備工事(コンセント増設・分電盤交換)

電気設備工事では、電気工事士の資格が必要な作業(分電盤交換・配線工事等)と一般的な取付作業を区別して記載することが重要です。電力会社への申請が必要な工事(増設・容量変更等)については、申請手数料・工事費が別途かかることを特記事項に明示します。

[電気設備工事 記載例]

項目数量単位単価金額
分電盤(20回路)パナソニック製165,00065,000
VVFケーブル2.0mm×3芯20m2505,000
コンセント増設(各部屋3口)5箇所8,00040,000
電気工(配線・取付)2人工32,00064,000

材工分離と金額計算の方法

設備工事の見積書では「材工分離(ざいこうぶんり)」が基本です。材料費と工賃を分けて記載することで、発注者が内容を精査しやすくなり、見積もりの透明性が高まります。

材工分離の書き方

材工分離の見積書は、以下の計算式で合計を積み上げます。

費用の積み上げ方式

材料費合計

+ 工賃(人工費)合計

= 直接工事費

+ 現場管理費(直接工事費 × 8〜12%)

+ 諸経費・一般管理費(直接工事費 × 5〜10%)

+ 交通費・処分費等

= 工事費合計(税抜)

+ 消費税(10%)

= 請負金額(税込)

諸経費の割合は工事の規模や内容によって異なりますが、住宅設備工事では直接工事費の10〜20%程度が一般的です。ただし、この割合を見積書に明示することで発注者の理解を得やすくなります。

材工一式(材工込み)での書き方

発注者から「材工一式でいくら?」と求められる場合は、材料費と工賃をまとめて「〇〇工事一式 ●●●,000円」と記載することもあります。この場合でも内訳の明細書を添付するか、口頭で説明できる準備をしておきましょう。材工一式の見積書は簡潔でわかりやすい反面、後から変更・追加が生じた際に「当初見積もりに含まれていたか否か」でトラブルになりやすいため、適用範囲を特記事項に明記することが重要です。

見積書提出時の注意点

見積書を提出する際に特に注意すべき4つのポイントを解説します。

1. 保証期間の明記

設備工事の工事保証は、施工不良による漏水・不具合等への対応を保証するものです。一般的な保証期間は施工完了から1〜2年ですが、機器メーカーの製品保証(3〜10年)とは別物であることを明示します。見積書または特記事項に「施工保証期間:1年(製品保証は各メーカー保証書に準ずる)」のように記載しましょう。

2. 工期の記載

工期は「着工〜完工の予定日数」を記載します。「着工より〇営業日」「資材発注後〇週間以内」など、具体的な日程の根拠も添えると発注者の安心感につながります。材料の納期(特にメーカー取り寄せ品)が工期に影響する場合は、その旨を明記しておくことがトラブル防止に有効です。

3. 追加工事の取り扱い

設備工事では、壁を開けてみると配管の腐食が想定より広範囲だったり、隠蔽部に追加作業が必要になることがよくあります。そのため見積書の特記事項に「隠蔽部の状況により追加費用が発生する場合は、着工前に別途ご提示します」と明記することが重要です。追加工事が発生した際は、必ず着工前に書面(追加見積書)で合意を得てから作業を進めましょう。

4. 見積有効期限と材料費の変動対応

銅管・ステンレス管・電線類など、金属系材料は市況によって価格が変動します。見積有効期限を30〜45日程度に設定し、「資材価格の大幅変動時は再見積もりをお願いする場合があります」という旨を特記事項に入れておくと、値上がりリスクを適切に管理できます。

下請け・孫請けの見積書の書き方

水道工事・設備工事業では、元請け(ゼネコン・工務店)から仕事を受ける下請け業者や、さらにその下で作業する孫請け業者が多く存在します。それぞれの立場で見積書の書き方に注意が必要です。

下請け業者の見積書

元請けへ提出する下請け見積書は、元請けが発注者(施主)に提出する見積書の一部として使われます。そのため、工種・項目の分類を元請けの書式に合わせることが求められる場合があります。また、建設業法第20条では、一定規模以上の工事(建築一式工事以外では500万円以上)において元請けは下請けに対して「見積期間」を適切に設定する義務があります。急いで見積もりを求められても、期間が短すぎる場合は法令に基づいて適切な期間の確保を求めることができます。

下請け見積書では、自社の利益(マージン)を明示する必要はありません。ただし、材料費・労務費・諸経費の大まかな区分は分かるように記載し、元請けが発注者に説明できる内容にしておくとスムーズです。

孫請け業者の見積書

孫請け業者(2次下請け以下)が下請け業者へ提出する見積書は、作業範囲をより明確に区切って記載することが重要です。「どの工程から・どの工程まで」「材料の支給は誰が行うか」「足場・揚重機の手配は誰か」を特記事項に明示しておくことで、責任範囲のあいまいさによるトラブルを防げます。

2024年施行の改正建設業法(いわゆる「フリーランス新法」との合わせ技)では、一人親方等の特定技能者への書面契約義務が強化されました。孫請けとして個人事業主・一人親方が工事を請け負う場合は、見積書を書面(電子でも可)で提出・保存しておくことが法令対応上も重要です。

インボイス制度への対応

2023年10月から開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、見積書の段階から影響があります。インボイス登録事業者の場合、請求書(及び見積書に準じた書類)に「適格請求書発行事業者登録番号(Tから始まる13桁)」を記載する必要があります。下請け・孫請けが免税事業者の場合、元請けが仕入税額控除を受けられなくなるため、登録番号の有無を事前に確認しておくことをおすすめします。

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